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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

このご時世、無知さは罪

施工:屋根 建築士・施工者

翌朝も雨ながら強くはないので対応する事にした。

枡の詰まりが原因のはず。棒と撤去電線を持って行く。枡に手を突っ込んでも多少の落ち葉類が取れるだけで改善はしない。棒を突っ込んでも知れている。大屋根の雨が軒樋に流れ、集水器である枡から呼び樋、竪樋、這樋、そして1階軒樋に流れる。這樋まで曲がりくねっている。

 そこで撤去電線。曲がりくねる樋にどんどん差し込む。これでどうかと期待したが改善されない。当りもないので詰まり箇所が分からない。今度は呼び樋と竪樋を叩く。全体的に水が溜まっている。となると竪樋と這樋との取合部かも、と竪樋を引き抜こうと試みる。何故か抜けない。動かない。

これはもしや、と力づくで引き抜くと案の定だ。竪樋端部が這樋底に当っていて、落ち葉が詰まりに詰まっていたのだ。溜まっていた落ち葉と大量の水が一斉に出てきた。お父さんの膝下はビショビショだ。

 あーーーーったま来た!!! 濡れたからではない。これを施工した人間達に対してだ。

前の所有者の話や施工時期、他の施工内容等からして、前の所有者家族が行ったものではないはず。業者だ。いわゆる「プロ」という奴だ。この家の特に北側は、竹や杉などの落ち葉による影響は容易に察せられる。プロなら当然、基本中の基本だ。それなのに詰まりやすいような施工をしていた。この、一見ちょっとした不良作業で建物へのダメージはなかなかのものだ。
 建築当時の施工ではない。材料が最近のものだからだ。そもそも、ポリカ波板で覆うようなお手盛りで適当な仕事だ。軒樋からの溢れ水に対しても詰まらない施工をしている。

そして、瓦へのコーキング塗布だ。「土葺瓦だからズレる。だから雨漏りしている。ズレないようにすれば雨漏りしづらい。台風でも安心。しかも、葺き替えたりするよりも非常にお安いですよ」とでもぬかしやがったのだろう。瓦という屋根建材の理念は止水ではなく排水だ。コーキングがその排水の邪魔をしたり、本当の雨漏り原因となる隙間の堆積物を堆積させやすくしたりもする。瓦屋根の本職の方から蔑まれる悪施工だ。しかもだ。これは大屋根瓦にも行われている。恐らくだが、足場を立ててやったのではないか。

 もしそうであれば、安いと謳っていてもそれなりの金額になったはず。悪意があっての事なら悪徳業者。悪意がなくてただの無知でも、お金を貰う「プロ」の業者としては罪だ。
 樋の不良取付による枡の溢れ水によって北西部の雨漏りが尋常じゃなかったとすれば、その後にポリカ波板施工はされているはず。瓦へのコーキングはいつのタイミングか。これは別々の業者の施工なのか。もしかしたら全部が同じ業者なのか。どちらにしてもヒドイ。 

 以前の所有者にも文句は言いたい。こんな施工に払う金があったのなら、ちゃんとした業者にちゃんとした施工を依頼して欲しかった。適当な施工を許した事も責めたい気持ちがある。こういう家をわざわざ買って住んだのに意識も知識も無さ過ぎる。こういう業者がいるからこそ、施主の無知さはもう罪だ。

しかし、お父さんも偉そうな事は言えない。お父さんだって以前の所有者と大して変わらない。また、以前の所有者がこの施工を行った時期は、既にお子さんが継がない事が予見出来ていた、又は確定していたかもしれない。ならば、数百万円も掛けたくないと考えるのは、正直よく分かる。