家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

施主設計:階段という縦動線

■階段

 これもなかなか難しい。


 「ただの上下移動装置、かつ暖気効率をとにかく優先する」というのであれば、奥玄関に階段室を設ければ良いかと思う。しかし、お父さんは階段を、「パブリック空間とプライベート空間との境目」だとか「縦動線による景色変化装置」だとか「見せる(魅せる)意匠造作」だとか、欲張った事を目論んだ。

 その為もあって、複数案を考えてはボツにしてと少なくとも5案か6案は考えたかと思う。LDKだけでない全体的な配置にもかなり影響を与えた。あちらを立てればこちらが立たず、の繰り返し。お父さんの知る限り、経験した限り、欲張らない階段でも設計者は階段は悩み所であったり、腕の見せ所であったりするようだ。


 階段の踏面や蹴上寸法を調整すれば収まりそうな所もあった。しかし、寸法は決めていた。この以前に、おじいちゃん建築士が携わっている改修現場に行かせてもらった際、その階段の具合が良かった。その寸法を採用する事を大前提にしていたのだ。

 この家の広さからして、どこにでも置けそうに思うかもしれない。が、梁や小壁(差鴨居)を避けないといけない為、そして決定寸法がある為、なかなかそうでもない。

 

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 それぞれのボツ案までの仔細はさすがに簡略割愛して、決定案の話。

 場所はリビングの奥地。これは消去法だ。リビングを通り抜けての動線だと、二人の友人などが遊びに来る事などを踏まえると、お父さんがパンツ一丁でリビングにてダラダラゴロゴロしづらい。家の中でもある程度ちゃんとしておかないといけない、厳しい階段だ。

 リビング中央や手前には、日常動線に支障がある。ダイニングは狭くなる。元の仏間位置にだと薪ストーブはどうする。奥玄関だと縦寸法上、屈折階段になってしまうし、縦移動時は真っ暗だ。他にも、色々な取合いや兼合いにおいてここに収まった。パンツ一丁は諦めた。


 リビング奥地は、何ならこの家の顔になりそうな位置だ。「縦動線による景色変化装置」「見せる(魅せる)意匠造作」という事からしても、意匠的ハードルが非常に高い。

 さらに、この奥には元々の床の間がある。新たなリビングの造作収納設置場所となる。と言うか、そうせざるを得ない。階段の向こうの収納棚。これも意匠的にどう収めるか、かなり荷が重いが持越し課題だ。