家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

施主設計:「大玄関」検討

 さて、禁断の「施主設計」開始。


■大玄関

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 特段、家というものにあれやこれや言わないし、考えないし、思い浮かばないお母さん。そんなお母さんの唯一と言って良いほどの希望が「広い玄関」。
 以前にも少し書いたが改めて書くと、三和土ではなく大きな御影石貼の土間、高い天井、立派な柱に差鴨居。壁は中塗り仕上、建具も今時なさそうな意匠物。この家に一気に惹かれたものがこの玄関。お母さんだけではなく、お父さんもそう。お父さんは、この広い玄関を「大玄関」と呼んでいる。

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 この大玄関の奥手には千枚格子の建具がある。そこを開けると、元々通り土間があったと思われる所に合板フローリングが施されていて、その右手が台所。左手の名称は何と言うのか分からないが、上り框と板間がある。正面は勝手口。
 千枚格子を開けた所を家人の玄関として使ったので、お父さんはここを「奥玄関」と呼んでいる。

 大玄関を意匠的に変えてしまわない、という事は早々に決めていた。しかし、改修を考えるに至ってそれはなかなかの悩みどころとなった。改修プランの基軸の一つになった、と言って過言ではないと思う。


 まず、玄関戸と勝手口戸はこれも不変。となると、通り土間部は東西
南北の動線の交わる所になってしまう。
 また、大玄関右手手前にある6帖の応接間(?)との動線も悩む。この家に出会う前から、玄関収納部屋が欲しいと思っていた。考えていたよりはるかに大きなスペースとなるが、場所的にはこの応接間が打ってつけ。しかし、そこへアクセスするには、一旦大玄関土間に土足に履き替えて、という事になってあまりスマートじゃない。既存の土壁をくり抜いて、大玄関を迂回するような廊下を設けるか。はたまた、大玄関内に渡り廊下を設けるか。う~ん、どちらも嫌だ。

 こういう意匠と動線と土壁温存等の絡みで、ハナから方針は決まりながらも全体への影響が大きく悩んだのがこの大玄関廻りだった。