家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「現世代の答え」と「将来世代の答え」

 今回は、この家屋の話から思いっきり外れた事を書いておきたい。このブログは数年後、十数年後、もしかして数十年後のきょうことりょうすけに伝えておこうというものであるので、今回の話を挟み込みたいと考えたのだ。


 昨日の平成
27517日、「大阪都構想」という政策案が、大阪市有権者による住民投票でおよそ1%差で反対多数となった。お父さんは非常に落胆した。


 この事を直接知らない二人には前置きとなる説明が多く必要になるが、それは我慢して欲しい。

この構想は簡単に書けば、大阪府大阪市の権限整理をしようというものだ。

大阪府は現大阪市域を含んだ都市・広域行政を担い、府域全体の発展を目指す。現大阪市域は、選挙による区長と区議を選出できる幾つかの特別区へ分割し、各区域に応じた住民行政を担う。この提唱を行った橋下氏と松井氏が率いる「大阪維新の会」という地域政党は、都道府県の中に都道府県があるという政令指定都市の制度を改めないと、目指す方向が違う船頭が二人いる舟がごとく、大阪は座礁してしまう危機感を訴えてきた。

 実際に、長らく「府市あわせ(不幸せ)」と揶揄されるような状態が大阪では続いていた事は周知の事実。大阪市の人口のピークは、昭和
20年以前=戦前である。人口がその地域の強さの唯一の指標ではないが、その他の指標も衰退の一途。これは何も大阪市だけではなく、大阪府全体である。この弱くなっていく大阪市大阪府を合体させて、強い大阪となろうという話で難しいものではないと思っていた。

 これに対して、大阪市議会の自民・民主・公明・共産勢力は一律反対。そりゃそうだ。市議達は、権限範囲は分割されて、収入も市議から区議レベルになってしまう。この市議達にそれぞれ支えられる、府議国会議員も呼応せざるを得ないだろう。

そういう腹の中の事は伏せておき、反対理由はあろうことか「『府市あわせ』は存在せぬ」とおっしゃる。それ以外にも色々言っていて書ききれないが、いずれも今までの問題点への説明力や代案の説得力に欠けるので割愛する。

 お父さんは大阪市民ではないので、この史上最大の住民投票の投票権がなかった。しかし、お父さんと同じ、又は若い世代の男性は賛成がかなり多かったようだ。こういう世代ならではかもしれない。数十年後先を考えたり、現状打破をする為には挑戦しよう、というような見方だろうか。

一方、同じ現役世代でも女性は微妙だったようだ。日頃、住民として行政と接する事が少ない男とは違うからではないか。反対に、「権限の整理」などの必要性、重要性を感じるような事があまり身近にないのかもしれない。それに、反対派活動の「今よりも住民サービスが悪くなる」という脅しに反応したのだろうか。どうせこのままだとジリ貧なのに…

 そして、反対票の主力は、ご多分に漏れずの改革嫌いの高齢世代だ。「今のままで良い」だ。自分達は老い先短いのだから、改革などして何か悪くなるかもしれないのだったら嫌だ、ってな具合だろう。ちょっと待て、アンタたちには子供や孫はいないのか。

と言いたいが、年齢は関係ないのかもしれない。「政治が二流なのは、有権者が二流だから」だそうだ。そうであるなら、戦後の昭和政治を支えた世代、大阪の衰退を放っておいた世代である。無理もないか。「自分達は何かあっても耐えるので、若いもん達に好きなようにやらせてやろう」という気概ある高齢者は、残念ながら少なくとも大阪市には多くいなかった。

 さて、このような住民投票であったのだが、お父さんはこれが島国日本なのだろう、と思ったのが感想の一つだ。歴史を見ても、稀にみる強力な指導者・執政者の登場か、海の向こうからの圧力がないと大きく変わらない。急激な変化は好まれない。既存の輪を極力壊さない事が肝要。

そもそもこの「大阪都構想」は自治行政の権限整理の話であり、住民レベルでは拒絶感ある急激な変化とは違うのではないか。しかし、反対派はかなりその点を煽っていた。致し方が無いが、それに賛成派は応じた。

 橋下氏は、「自分は実務者であり、敵をつくらないようにする政治家ではない」と述べておられた。確かにそういう所がありそうだ。政治家部分は、かなり松井氏が担っていたと思われる。だが、どうせ敵をつくる事に憶さないのであれば、反対派大阪市議を諸悪の根源のような敵にする方法もあったように思う。つい最近、そのような総理大臣がいたのだ。

でも、そうしなかった。ちゃんと政治をしようとしていたのかと思う。それは良いと思うが、とても残念だ。


 この事を書こうと思ったのは、現在の世代のそれぞれの選択や行動が、二人が大きくなった時の社会と直結している事を伝えたかった為だ。日本の社会はこんな感じ、という具合の感想でも良い。それを踏まえて、また二人がする選択や行動がその後の世代に影響する事も、何となく感じていて欲しい。

 お父さんとお母さんが、今のこの大きな古い家を購入し自分で改修しようとしている。お父さんやお母さんがこのような決断をし行動しているのは、何かしらその前の世代からの影響があるとお父さんは感じている。また、お父さんとお母さんのこれらの行動は、二人に大きく影響するだろう。お父さんはこの影響は良いものになると自信は持っているが、その答え自体は実のところ持っていない。無責任に聞こえるかもしれないが、その答えは二人次第で如何様にもなるとも考えている。お父さん達がそうであるように。

お父さんは出来るだけ、自分の行動が子供達二人への影響が良いものになるように、と思ってこのブログを書いている事を改めて述べておいて派生話は終わりにする。