家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

伝統構法の無形文化遺産運動

 お父さんが成人するぐらいの時までは、寿司は高級食の代名詞だったと思う。テレビのアニメで、梅さんという寿司職人が握った寿司を、シャツの中で生きている平面なカエルとそのシャツを着ている中学生だったかと思う男子が頬張っている場面では、なんとも羨ましかった事を記憶している。
 しかし今では、回転する手頃な価格の寿司が大人気。この回転寿司は職人が握るカウンター寿司店よりも一段下に置かれるが、寿司とはこういう庶民のファストフードとして生まれたものなのだから、原点回帰したとお父さんは思っている。

 蕎麦もそうだが、歴史を重ねると高級化してしまうものがある。文化に昇華してしまうのだろう。しかし、それで支える人がいなくなってしまうのは、本末転倒のように思う。寿司は高級路線と庶民路線とが今の所成り立っているので良かった。

 しかし、高額過ぎる伝統構法自体は残念ながら廃れる方向一途だ。一般的に忘れ去られている構法だけに、その拍車はなかなか止まらなさそうだ。

現在、「伝統構法を無形世界遺産に」という活動をされている方々がいる。お父さんもその活動に賛同している。これで現代日本国民への認知が高まれば、何かしらの変化が起こるかもしれないと期待している。

ただ、だからと言って高額な建築費用と在来工法用の法律の壁により、選択肢としての伝統構法の生き残りは非常に難しそうだ。昔々のように、職人だけでなく施主、そしてご近所に「お互い様」で手伝ってもらって造るような事もなさそう。

 伝統構法から発展し別物になったと言われるらしい在来工法。現実問題、一般勤労者の手に届く価格設定されている在来工法に駆逐されない為には、文化認定されるだけではなく、価格面で取り入れやすい方策がないと起死回生にはならないような気がする。しかしそれは、工期短縮圧力になりそうで、そうなると在来工法と何ら変わらず本末転倒、という事になるのかな。

 現代に残っている文化的建築物、というのは寺社仏閣はもちろん、昔のお金持ちが建てた邸宅であったりする。富が集中する弊害はさて置き、良い面は結果的にでもこういう文化面での貢献があると思う。
 こうなったら現代のお金持ちの方には、鉄筋コンクリートなどだけでなく、税制優遇等してでも後世に残るような伝統構法の大豪邸を建てて頂きたい。そして結果として、建築界や文化面に貢献して頂きたい。

そんな事をふと思う他力本願なお父さんである。