家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

この家のこと:母屋 -2-

■使用部材や建具

 とにかく高級材が多い。

 大玄関の上り框はケヤキらしいが、これを買うなら二桁万円になるだとか。差鴨居は、そもそも現代にはもう無い上に狂いが出ていないもので、訪れた大工が感嘆していた。
 柱にしても同様で、各柱は四方が「無節」や「上小節」という等級のものばかりで、しかも大きい。「無節」と「上小節」、節の有る無しや、節があっても少なく小さい、という事なのだが、「無節」と「上小節」との価格差は非常に大きくて、お父さんはビックリした。これはまた後に書く事になると思う。

 構造材だけではない。建具も今時のものはなく、造ってもらうと二桁万円になりそうなもの、確実になるものが多く、そもそも現代では材がなくて造られないものもあるそうだ。極力これら建具は流用しようと、金額を聞いて思ったお父さんはこれいかに。

 玄関土間は、三和土ではなく御影石貼。高級感があって良いのだが、湿度が高い時には結露が発生して周囲の木部を湿らすのがなぁ。三和土だとこうならないのかは不明だが。

 ちなみに、この石貼土間は手前だけではなく奥まであったようだ。調査過程で、奥玄関の合板フローリング下に石板が見えた。この家は、所々このようなアホちゃうか、という改修が施されている。

 地域でも大金持ちにだったらしい建築主の子供は、その財を失わせて破産したようだ。言っちゃぁ悪いが、そういう人物だからこんなもったいなくて上辺っ面のつまらない改修をするんだろうなぁ…
 と、お父さんも後世の人にそう言われないようにしたいものだが、果たして?

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■不具合等

 決済後すぐに確認したのは、床下の束だ。今までの家さがしの時は出来る限り床下は見てきたが、輩の仲介業者の存在で事前確認は諦めていた。結果は、問題なし。床下はジメジメ感は全くなく、土は湿っておらず、束も腐朽は全く見られない。風が通るこの家は、床下も同様だったので一安心。

 もう一つ気になっていたのは、雨漏りだ。ただ単にポリカ波板でかぶせただけで、雨漏りは止まったと前所有者は言う。

 実際は、ポリカ波板から外れた箇所の天井懐内で、ポタポタ音がするじゃないか。高齢で分からなかったのか、事実不告知か。入居後の初回の雨で分かった時は眩暈がしたよ。
 これのせいで、改修予算を100万円引き上げた。