家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

こんがらがった時は因数分解 -2-

銀行は、絶対自分達は損をしないようにする。銀行に限らず事業者だろうが消費者だろうが当たり前の事だが、銀行は特にシビアな方だと思われる。変動金利ローンは、誰が見たってそういう融資だ。世の金利が上がれば、利ザヤ稼ぎ業の銀行も金利を上げる。

では、固定金利ならどうか。銀行様が庶民の味方として変動リスクを負ってくれているのか。いいや、利益の為に負うのだ。損をしないように、ちゃんと儲けられるようにと想定された金利設定を行う。これについても誰でも分かる事だ。

 という事ならば、銀行は変動リスクを引き受けるというサービスで手数料を取っている、とも言える。
 変動が得か固定が得かでは答えが見出せなかったお父さんは、銀行のその金利変動リスク代を払って負わせるのか、払わない分を自分で負うのか、という因数分解をしてみた。

 そこで、銀行が変動リスクをどう見ているかと言うと、例えば変動金利だと1%以下のところ20年固定金利3%台である。これが10%とかなら、銀行はその期間に金利が大きく上がっていくと見ていると思うのだが、3%台である。これは、20年間は大きくは上がらないと見ている事だとお父さんは解釈した。

 ならば、歴史的低金利時代を謳歌しようじゃないか。

 問題の変動リスク負担については、銀行の見立ての精度を信頼し切る事は出来ないので、繰り上げ返済をし倒して融資期間を半分にする。又は、融資期間を余裕に構えておいて、金利動向が変わったら多少そのタイミングを外しても完済してやる。
 この姿勢でいれば、銀行に変動リスク代を払わず、自分も変動リスクを極力負わずに済むんじゃないか、という事で変動金利で融資を受けた。これを二人が読む頃には完済している予定であるが、さて、お父さんの目論見はうまくいっただろうか。

 それに、少しぐらい何か参考になるだろうか。自分の側だけでなく、相手の側から見るようにすると何かが見つかる事があるのかもしれない、と。

 ちなみに、現金一括購入の選択肢があるのならば、こんな面倒な事をせずとも良いのでは、と思ったりしただろうか。もしそう思ったのならば、お父さんは二人に何もお金の事を教えられてなかった、という事で反省する。
 これは単純な話で、住宅ローンの低い金利よりも現金を運用した利回りの方が高いからだ。
 例えば、この家の場合の初年度金利負担と保証料は、ざっくりで18万円程だ。この負担額だと、仮に現金1,000万円を2%で運用できれば税引きでイコールになる。変動金利リスク回避の為の返済金の意味合いもあるから、運用リスクは低い方が良い。
 では、そのようなリスクが低めの2%での運用方法があるのかと言えば、現在の超低金利時代でも探す事は難しくない。もし、興味を持って勉強したくなったら自分で始めるも良し、お父さんに聞いてみてもらっても良し。

 さらに余談だが、現在、住宅ローン控除という金利負担分を所得税から控除される税制が施行されているのだが、住宅業界堅持政策の為にこの家のような古い家はなんにも控除も優遇もされない。だから、多少の運用益では一般的新築家庭と比較して大きく裕福、という事でも全くない。税金を納めるお父さんとしては、税金を実質貰っている一般的新築家庭が羨ましいぐらいだよ。