家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

建材:土壁

泥濘(ぬかるみ)

再度練習と実験施工。 二ヶ所目。一ヶ所目に施した寒冷紗を残した状態で再度塗るが不調。 三ヶ所目。泥砂藁水だけで挑むが、水を少な目にして実施。水を少なく、とは何と表現すれば良いだろうか。左官工の持つ鏝板の上のネタの映像を見た事があるだろうか。…

暗中模索号令

ハナから妥協しない。ハナから高みを目指す。そう意気込んで始まった施主施工。漆で頓挫、精神的リハビリにようやく蹴りを付けられたその時に初の左官仕上げ工程。あぁ無理、はい無理。と言ってもいられない。湿式工法はこの先も続く。そもそも本職に頼まな…

建材と思い出を再生した工事

枠が出来た、という事で縦板入れて竹木舞を組む。写真を見ると、やはり格子壁はいいな、と浮気心がムクムクする。グッと堪えてそのまま久々の荒土塗り実施。 で、ここからまた寄り道作業発生。保管荒土が微妙に足らずに確保するのだ。これがあるので、当該壁…

伝統構法長期自然材多用施主施工の特有スキル

単なる家主と違って見れば見る程萎える長押。では残そう、と思うのは施主施工者として自然な心理だと思う。但し、どう残すかがまた検討課題となる。と言うのも長押裏が見える改修だからだ。 それは階段の存在。今までの2m未満の生活視線なら気にならなかっ…

梁束梁貫仕様の因数分解

では、梁束梁貫仕様にすれば良いではないか、とはならない。それはそれでゾッとする。出るか出ないか分からないヒビと、確実に施工負担増大する仕様変更。なかなか決断に至らない。こういう時は思考の因数分解。 梁束梁貫仕様にしない場合。要は、小壁が大き…

ゾッとする話

さて、話を戻そうか。竿縁天井解体後の小壁施工についてだな。想定よりも長い工期になっている事にも絡むので、寒さや加齢以外の本筋の話をしておこう。 まずは当初計画。当該箇所の施工について、設計段階から繊維面を撤去した後にそのまま中塗土仕上として…

単独施主施工へ邁進

漆喰採用理由話は残念ながらまだもう一つある。施主施工向け建材と見たからであり、お父さんにとっては結構重要だ。 「当社は施主施工を応援」とか謳って実の所、漆喰を施主に塗らせるだけの施工業者が複数ある事に触れた事がある。これは逆に言うと、ズブの…

初めて思い浮かんだ漆喰の実用性

漆喰の歴史的お墨付き建材として地位説明に乗じて気管に絡んだ唾を吐く内容になってしまったが、採用理由をちゃんと書いていなかったな。 まず見た目。古色柱梁に囲まれた白い壁。コントラスト。これ。個人の好みの問題だ。繊維仕上げにしなかったのは同じく…

吐かれた唾を吐き返す

手間と費用。リビングダイニングの壁仕上材を施工面と予算面から選んだが、ついでに他の居室も含めてその他の面についても説明しておこう。 土壁中塗仕上げの梁上小壁は、元々は繊維壁を含めると、リビングダイニング以外には大玄関と奥玄関と南側の縁側、そ…

建材による文化圏の違い簡略論

ところで、設計図書目的でもあるこの手記だけに、チムニー外壁仕上げ材の石灰モルタルの事について触れておこう。 石灰モルタルとは、別名か本名かは不明だが西洋漆喰とも称されるようだ。何故かモルタルという言葉が入っているが、セメントと砂とは関係が無…

「別にいいや」

施主施工をしているのは、平たく言えば節約の為。それだけでは施工品質を長期に維持する事は困難。まぁ、良し悪しとかのレベルではなくそういう事なのだ。チムニー施工はその凝縮。 先に掲載したチムニー内部写真。そこに映る内壁はケイカル板。煙道火災に備…

ほったらかし作業の着手

キッチン天板漆塗り施工への邁進にて、ほったらかしにしていた施工。それらを進めて行く事にする。 その一つ、キッチンの換気扇設置施工。換気扇はかなり前から現場に邪魔的鎮座。漆施工中断、及び台風襲来に懲りて壁を造っておこうと思った次第。本施主施工…

「濡れ砂に焼き」

<材の準備> 大斑直し開始より気になっていたのは、由良川高級砂の具合。塗り壁表面に小石の引き摺りが起こるのだ。 これは何も当該砂だからと言う話ではないはず。何かしらの設備で篩いに掛けられているだろうが、これには限界があるはず。当該砂は粒度5㎜…

傷心からの起死回生

<材作りの道具> 大斑直しから中塗りに移行して間もない頃。それまでの材作りの方法。トロ舟に泥と砂を入れて鍬で混ぜ捏ねる。硬さ具合を見ながら水や、頃合いを見て灰汁抜き藁を投入。 一回当りの投入量は泥と砂でざっくり10ℓ程。計ってはいないが重量にす…

材配合の不安定さ

<材配合の不安定さ> 建物建設に伴い、施工者から「施工要領書」というものが施主に対して作成される。「施工要領書」とは簡単に言えば、その現場での施工具合の説明書のようなもんだ。ISO絡みか何なのか、ゼネコン元請の大きな現場だと必ず作成を求められ…

材配合と耐力壁、と建基法

■「材」 <材配合と耐力壁> 材の作り方。何をどれだけ入れて、どうかき混ぜ、どう据え置いて、そしてどう使うか。そんな事は分からん。セメントのような工業規格品で製造者が明示してくれている物はよいとして、自然素材物だと想像もつかない。 本物の土塗…

水打ち量考察

<水打ち量> 塗り材の水引き対策と、塗り材と下地材との混和接着材として下地へ水打ちする。その水打ちはし過ぎても構わない、と考えていたお父さん。勿論限度はある。下地表面の泥粒子が流れる程は打ち過ぎ。なので、イの一番で壁全面に水打ちをしてから、…

ヒビ・剥離と水の不思議メカニズム

<ヒビ・剥離と水の不思議メカニズム> 平成生まれの二人はどう学ぶか分からないが、昭和生まれのお父さんは光合成による酸素発生は、植物が取り込んだ二酸化炭素から出来ていると学んだ気がする。二酸化炭素が分解されて酸素と炭素となり、酸素は空気中に放…

中塗り壁のヒビ・剥離

<ヒビ・剥離の発生条件> 荒壁ではヒビが絶対発生する。しかし、上塗りされるので構わない。大斑直しも確実に発生する。やはり上塗りされるので構わない。中塗壁にも発生する事がある。これも意外に構わない。漆喰により上塗りする予定だからだ。中塗壁は発…

中塗り重塗り

■「下地・現場毎」 下地や現場毎の対応なんて、お父さんには不要な要素だと思っていた。下地については、探検さんから散々ご忠告を頂いた水引きについてぐらいと。現場毎については、この家の事だけ分かればそれでいいと。でも、案外そうでもなかったのだな…

本職施工大斑直しの大斑直し

現在に追いつく為にほぼ毎日更新していたブログ。追いついた事で時間的にとても楽になったこの頃。書かない事が当たり前になりそうで、竣工まで続けられるかの心配は微増。 数日振りに書く内容にしても至って簡易。母屋二階大斑直し工程。一階と基本的に同じ…

左官の道、いと険し

洋の東西を問わず、普通の住居はその土地にある素材で造られた。日本の場合なら木だが、石の地域もある。泥土もあれば、家畜の皮や排泄物も建材にされたりする。自然の素材だけに住み手自身が建てる事が出来た。と言うか、そういう家しか建てる事が出来ず、…

家族と他人様のお陰で成り立つ伝統構法施主施工

藁スサ作り用の道具を造ってみた。足で押さえながら、釘を研磨して剣山風にした物。 剣山にしては釘密度が低いが、密度を高めると強度の心配がある。そして、研磨が結構面倒。取り合えずこれで試めしてみよう。気長にやれば出来ない事も無さそう。もう少し小…

藁スサは作られるか否か

以前に書いた、建材屋さんと直接取引がインターネットで出来るサービスを運営する老舗建材商社。ひょんな事から運営担当の方々が我が家に来られてお話をする機会を得た。この会社の主力は左官関連品。なもんで左官の事は職方じゃなくとも、左官のサの字もほ…

由良川砂を買いに、いざ福知山へ

淀川砂以外は無いものか。勿論、ある。お父さんのような素人個人でも探せる手段、インターネット上で見つけられた最寄りの川砂がある。 淀川砂を探している時に見つかった業者。こちら、川砂なのに川から砂を採取されない。農地から採るとの事。この地域では…

この家と木津川環境破壊問題

川砂真偽問題は呑み込めたので、目星の近場の建材販売業者の選定中の時。河川の自然環境保全かの活動に従事されているような方のブログに、ふと辿り着いた。 内容は、川砂採取により河川環境が破壊されていると。 近場の川砂、となると淀川のものになる。淀…

「土壁に川砂」を推理

何故、左官材には川砂か。 前述通り、角が取れていて塩分が無いという所が重要らしい。簡単に言うと、角があると振動により接着剤となっているセメントを割ってしまいやすいらしい。塩分は、セメントに良くないらしい。賢そうな理屈は知らず、盲目的にそう認…

本物の「川砂」

セメントを扱った事で砂購入に動き出す。砂は、セメントにだけでなく土壁材としても買う必要はとっくに承知。ただ、まだ先だと考えていた事と、業者から買う必要があるから腰が重かったのだ。お父さんは、業者等のカネが絡むような人との接触がどんどん億劫…

土を漉す

「土を漉す」。なんじゃそりゃ。料理で食材を漉す工程は知っている。砂を篩にかけるという事は知っている。しかし、「土を漉す」だなんて。 平成の世で一体どれほどの人がするんだ。土壁を造る人だけだろうか。「一、二、三…」と数えられるぐらいしかおられ…

荒土の柔らかさ

左官職は、綺麗にだとか、平らにだとか、早くだとかの「塗り」が腕の見せ所、とお父さんは思っていた。しかし、それは素人でも見えるに過ぎない一面のようだ。同様に、もしかしたらそれ以上に技量が求められるのは、「材料調配合」らしい。一流ともなると、…