家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

建材:土壁

漉す、そして泥水を煮る

いざ実験。藁スサは勿論ながら、二回漉しなのに小石がかなり取れた。よしイケる、ときょうこに引き継ぐ。 結果、極力藁スサを取り除いた小石量は、元の泥土の目測体積にして15%ぐらいになっただろうか。これらを鏝で取り除くとかゾッとするわ。小石問題は一…

「やらない」と「出来ない」は意味が違う

そうは言っても選択肢が無い。鏝捌きが未熟なのはどうしようもない。諦めもつく。だが、やれる事をせずに出来なかったでは済まん。「やらない」と「出来ない」は意味が違うのだ!! で、二回目土漉しの実施決定。そこで篩を考える。同じ篩を使う程馬鹿じゃな…

小石ズリズリ、小石カタカタ

平成バブルの建設ラッシュ期。多くのゼネコンや工務店は、次々舞い込む仕事の処理にてんやわんや状態。必然、建材料インフレも巻き起こる。例えばセメントが値上がったり、中には工期通りの確保が難しくなったりする。そこで、例えばモルタルのしごき施工を…

寒冷紗剥落実験

さて、実験材は寒冷紗だ。 お父さんは不思議だった。石膏ボードへの漆喰施工の下地材として、何故に寒冷紗が有用なのか。その名から何か特別な布なのか、と思いきや写真からも、そして実物を見てもガーゼのような華奢な網状の布。 左官材の下地としての建材…

再利用の気持ち良さ

床板施工を無理矢理完了させた事で、目下の目標、雑巾摺取付を行う。 取付方法は、世界最強の軍事・経済大国にしてDIY大国でもある国の例の耐水性木工用接着剤、並びに我が日本国の隠し釘による日米同盟方式。例の接着剤使用理由は、左官施工による水の脅威…

繊維仕上壁の品位

いざ施工。漆喰で培った施工法にて仕上げていく。まずは元奥の間の小壁狭小部への再施工。 部分部分塗り法では、奥の間小壁の狭小部一面にコネコネコネっと凡そ30分。今回の通常法では、シャッシャッシャーと10分~15分。但し、泥の古色への固着を恐れて一面…

開き直り配合

この家に引っ越してから凡そ五年。本格的に施主施工が始まって凡そ四年。そして、最初の左官施工を行ってから二年強。この間、消極的には無数にあったが自らやるぞ、と成った事極僅か。カネが有るから、道具が有るから、材料が有るから、施工箇所が有るから…

多分、お父さんは世界基準での中道。

続いて、薪ストーブ廻りの炉壁仕上施工。新建材下地漆喰仕上施工だ。 まずは、上方の漆喰壁廻りの養生撤去。一体何年貼っていたのだろう、マステは。剥がすと木部も一緒に剥がれる始末。他、泥土や水にも幾度も晒され、すっかり汚くなってしまっている。清掃…

これが世間一般程度と思しき「施主施工」体験

という事で、件の漆喰業者は高いから食材業者からコンニャク粉を別途発注。粉が余ったらコンニャクにして食べようっと。 施工面積が僅かな事もあり、水1リットル分にて作ってみる。この分量でだと、確か粉は5gだったかな。指先一つまみ、という量。重量比率…

「藁スサ入り泥土」とは違う「麻スサ入り漆喰」攪拌

付鴨居設置により一枚高壁を二枚壁にする事に成功。狭い場所で足場を工夫しながら四苦八苦して漆喰施工を実施。まぁまぁ許容範囲の出来上がり。 と思った矢先、またもやヒビ発生。んんん、もうイヤっ!! 既調合品である城かべ漆喰を使用する事で材料問題か…

徒労感がヒドイ

城かべ漆喰を本格採用する為には、既に大量購入済である漆喰をどうするかに依る。まだ未定という事もあり、この漆喰の初期ヒビ実験は継続。実験と言っても、今までみたいに壁一枚にての施工の実験と兼ねず、配合だけの実験。よって、一部分だけに塗る事にし…

「城かべ漆喰」という材の考察

九回目の砂漆喰調合をとちってしまい、水引きを抑えられなかった。こうなると、翌日の指触乾燥後にはヒビ割れが乱れ散っているだろうな。と思いきやヒビが見当たらない。初のヒビ非発生という事だけでなく驚いた。 という事で、無理矢理仕上げた具合は綺麗で…

腹立だしい準備不足例

さて、左官先生のDVDを発見する直前、スサ量の疑いを晴らす策を考えてみていた。それは、本職御用達既調合漆喰を実際に使ってみる事。 スサの不足疑念は99%の確信を持っていた。本職動画にて、鏝板や壁に塗り付けられている材の具合を何度も繰り返し観察。…

左官先生との出会い

そして、手に入る。あれやこれや検索していたら見つかったのだ。しかも、左官職でも無いのに買えるとの事。これは非常に有難い。お父さん如きでは宝の持ち腐れになる物かもしれないが、そうなったとしてそれでも構わん。として購入したのだ。それが、本手記…

遠回り具合が過ぎる

■同第七回目:丙面 〇主目的 ・砂漆喰の調合具合確認 〇施工方法 ・砂漆喰のみ一回塗り 購入漆喰材の調合具合確認の為、まずは砂漆喰から確定を目指す。砂漆喰は塗付後、早々に上塗漆喰に隠れてしまうので単独塗付だ。 そして翌日、何ら不具合が見当たらない…

メダカの前で漆喰材を見直す

六回目に来て前進したような、はたまた停滞か、或いは後退したような。漆喰検索していると、施主施工者の方の事例に当たる事がある。チラッと拝見すると、やはり新建材壁にシーラーやらプライマーやらを用いたり、そもそも漆喰ではなく漆喰調の材を用いたり…

敵の裏方は味方

ツバメとの根競べでは勝敗が付いたが、漆喰施工の勝敗は未だ付かず。いや、今の所は負け濃厚。 一歩進んだように思えたが、「押さえ」にて大きく後退した感がある第二の挫折。しかし、勝利に寄与するかは不明なものの、五回目にて乾き斑を無視して押さえた事…

客観視点

■同第五回目:同甲面 〇主目的 ・糊の追加調合による検証 ・本職用中塗り鏝、及び仕上鏝の使い処検証 ・動画撮影による検証 ・「押さえ」実験 〇施工方法 ・砂漆喰による下塗り(本職用中塗鏝)、及び漆喰による重塗り(同左、仕上鏝) ・「押さえ」三回(仕…

我流への大後悔

■同四回目:練習漆喰面をこそがした乙面 〇主目的 ・部分部分塗り法から本式に ・糊スサの追加調合による検証 ・本職用中塗り鏝、及び仕上鏝の使い処検証 〇施工方法 ・見様見真似の全面塗り ・砂漆喰による下塗り(本職用中塗鏝)、及び漆喰による二度塗り…

砂漆喰を作ってみる

水引き対応法のもう一つは、砂漆喰施工。 これは昔ながらの方法だそうで、仕上げの前にこれを下塗りして下地からの水引きを緩和させる、との事。他、骨材となる砂を入れる事で強度を高める目的もあるそうだ。セメントに砂を入れてモルタル、さらに砂利を入れ…

労多くして益少なし、かもしれない挑戦

土壁の呼吸力、またの名を吸放湿性について、これを神の如く崇め奉るような人達がいる。分からんでも無い、現代人だから。 この事については、それぞれの立場に依ったそれぞれの主張がある。左官建材の製造や販売業者は、ビニールクロスよりも漆喰や珪藻土が…

水引きとシーラー

左官は水との闘いだと表する文言があった。非常に低次元で異次元ながらこれを味わったお父さん。 目下予想される最大の課題は「水引き」。一体、本手記において幾度書いただろうこの単語。本職が試行錯誤されるものを、中塗土にでさえ錯乱してきたお父さんが…

だけど糊を侮ってしまう

二日後、新たな疑問。張って置いた水はどうするのだろう。 購入先サイトでは、余分な水は捨てろと書いてあった。しかし、この水は捨ててよいのか。糊が混ざっている水じゃないのか。それを捨てるという事は、糊の含量が減るという事ではないのか。よし、混ぜ…

粒子を侮る事勿れ

さて、材を混練りする作業。もしかしたらこれで失敗をする者が、子孫の内にいているかもしれない。何せ、先祖自身がやらかしたから。 漆喰に限らずセメントでも泥でもそうだが、程良い粘度はいきなりやって来る、と思う。 何て言うのかな。検証した事が無い…

たかが糊、されど海藻糊

そして最後に、糊の事。これは今までの土壁に無かったな。 いや、正確に言うと、藁からのリグニンがこれを担っていたのか。土佐漆喰と同じくで。スサを麻と称した物や紙の繊維をスサ材として使う場合、別途で糊成分を要するようだ。 この目的は、消石灰の細…

多重人格

施工者としては漆喰仕上は非常にやりたくなくなった。施主と設計者としては依然として漆喰仕上。お施主さんと設計の先生がそう言うんだから仕方が無い。お父さん、多重人格じゃなかろうか。 そう言えば、個人の施主が諸々段取りと調査等をした上で、左官職に…

漆喰にまつわる諸々の容易

さぁ、さぁ、やって来ました。不安しかない左官工程最大の壁、土壁への漆喰仕上塗り。不貞腐れていては到底越えられ無さそうな壁。それにしても、中塗り下地塗り開始からほぼ一年経過でようやく仕上げ開始。短工期が貴ばれて久しい現代にこの長工期。嫌にな…

そして休業

漉し土を作った事で仕上塗りは進んでいく。もう実験はしない。これを本番として実験面は削り落としてやり直し。その他全面そのまま乾燥を待たずに猛進。 と言いたい所だが、この工程は非常に疲れる。仕上塗りという事だからだろうか。広くもない一面に対して…

中塗仕上塗り本格デビュー

さて、出来た練り直し漉し中塗土は如何なものか。それはもう劇的に塗り易くなった。こう言ったお父さんに対しきょうこは「私のおかげ」と言う。確かにそう、きょうこや皆の成果。 この漉し土を使う事で施工に諸々変化する。 漉し以前の土で塗る場合、小石等…

いつか来た茨の道

ヒビが出ない、かもしれない方策をお父さんなりに考えてみた。 一つは砂を追加する事。泥の粒子の割合を減らすとも言う。泥を減らせば含水量は減る。そうすれば乾燥収縮が減る。感覚的に分かるかと思う。荒壁から仕上げに近づくにつれこれを実行。実際にヒビ…