家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

マイナス9点

 もう「構わない」かな、とお父さんも完了判断へかなり傾いた。実際、床施工時までどうなるか不明だから何年も保留していた大引材を、りょうすけと切断、加工の上で設置を行っていた。越して来た時は赤ん坊だったのに、鋸を持つとは大きくなったもんだ。

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 そして、りょうすけが生まれるよりも昔の事を思い出した。以前の施主施工でもフローリング施工を行った。無垢材ではあるが、巷によくある規格寸法サイズでの乱尺張り。ここでもしくじったのだ。

 その施工は昔ながらの古い間取りを一新し、大きな一間にするものだった。世間ではこれをリノベーションと呼ぶ。よって、リノベーション施主施工はこの家で二回目。半分業者を入れた半施主施工を含めると三回目。勿論、一回目も二回目もしたくてしたんじゃない。全くこれっぽちもしたくも無いのに三回目とは、お父さんは病的なケチんぼか変人だと今自覚した。

 

 話を戻して、前回のしくじりはズレ。全ての板を並行に張られてなかった。複数の居室を一間にする事もあって、施工面の平面形状は複雑。それに対して段取りがイマイチで基準線となる墨打ちも行わず。結果、やはりビス頭が見えるという失態。

 そのような隙間に堆積するゴミが目に入り、お母さんは針のようなものでほじくって掃除をしてくれていた。

 

 あかぁぁぁぁん!! やっぱ、あかん!! 死ぬまでビス頭が気になり続け、針ほじくり掃除もやり続けるなんてありえんわぁっ!! という事で再施工決定。

 

 以前の施工で学んだのは墨打ち。そして、失敗があるという事。

 当初、接着剤の付いたホッチキスの大きい版のような針を空気圧で打ち込んで床板を留める施工法を考えていた。実際、コンプレッサーは転居後間もなくして購入。だが、床鳴りの心配、解体時に漆板再利用の選択肢確保、そして、不良施工した際に外せるようにビス施工を選択し直した。

 活かせた所と活かせてない所があるようだ。ビスで良かった。コンプレッサーは主にチェンソー清掃用となっている。

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 最後の一枚と奥玄関上框との0.5㎜程の隙間。この類を「大妥協」としてマイナス3点としよう。床にしゃがむとビス頭が見える程の隙間、寸法にして1.5㎜程を「中妥協」としてマイナス2点。1.5㎜以下かつ計画隙間寸法0.5㎜を越えた箇所を「小妥協」、マイナス1点。この点数で言うとやり直し前はマイナス9点。やり直し後もマイナス9点。同点で意味無しだ。

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 という事にはならない。目立つ隙間を散らせる事で目立たないようになった事、これは実質プラスマイナス0点。9点増加だ。

 と言っても、これに投じた人工数は2人工弱。やり直しが無ければ凡そ1人工。そして、実質とか何とかではなく、出来て当然の0点だったわけだ。やり直してもあくまでマイナス9点。これ以上竣工前に減点にならないよう、早々に養生だ。

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1.5㎜強事態発生による緊急家族会議

 見習いスナイパーとしては、いや、今後も床張りする施主施工者としては、何故にこんな事態になったかを検証する事は大事と考える。

 

 無垢板フローリング施工においては板毎に隙間を設ける。木が動くからだ。実際、製材されてから年単位で置かれた当材の一部は、長手側短手側共に反りがあった。

 当材は巾200㎜、厚30㎜の杉材。製材等の具合や個体差もあるだろうが、基本的に硬い樹種や巾広材は反り易いのだそう。それを踏まえてもお父さんには適した隙間寸法など分からん。感覚的に0.5㎜とした。気温湿度共に低めなので余裕を持たせつつ、それ以上の隙間になるとゴミの堆積や留めビス頭が見える事を懸念した為もある。

 この隙間を確保する為、板を嵌める毎に切ったPBバンドと言う梱包材のビニール紐を挟んでいった。

 

 さて、隙間の大きさをこのPBバンド単位で言うと、最大で3枚だ。それも、4枚は無理でも3枚だと容易に入ってしまうレベル。当然、1.5㎜厚の金定規もスッと入る。ここまでの隙間になると、床上に立った状態でも隙間が分かる。しゃがむとビス頭が少し見える。

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 この状態は、最後に入れた手前三枚目と二枚目、それと隣り合う四枚目と最後一枚との隙間を極力均等になるようにした上、でだ。さらにさらに、絶対防衛線としていたにも関わらず、最後一枚と奥玄関上框との隙間を0.5㎜程に開けての大妥協状態にてだ。

  最後の一枚の加工がミスったのか。いや、そうではなかった。あれ程採寸したのだから、南朝鮮製のスケールがおかしいのか。いや、どう考えても使い手が悪い。だけど、何故こうなったか決定的な事は結局分からず。不甲斐ない施工の上に不甲斐ない検証。1㎜の余裕を取らなかったとしても、3㎜程外れているだなんて。

 

 緊急家族会議実施。将来の後継者候補のきょうこは「構わない」。現所有者で補助施主施工者のお母さんは「構わない」。きょうこと同じく候補者のりょうすけは「いいと思うよ、うんうん」。

 主たる施主施工者のお父さんは即日決定出来ず。やり直すとしても良案無しだからだ。

 

 最後の一枚部分を再加工をすれば確実だが、そんな漆板材は無い。最初の一枚からズラして来る事も厳しい。最初の一枚は、西側のLD上框下に隙間なくキッチリと5㎜程入っている。こんな時に限って高精度施工しちゃってる。もう擦り傷が入っているはずだ。

 では、その箇所に雑巾摺を設けてはどうか、と珍しく良案を出してくれたお母さん。確かにそれなら問題解決。だがしかし、どうも意匠的におかしい感じが拭えない。見た目を気にしてそれを行うのもおかしな話。さらに、板に対して垂直方向である北側や南側にも所々怪しい点が出てきそうなんだなぁ。

 

1.85m精密射撃

 床板施工前にすべき事をやってみよう。まずは、奥玄関上框廻りの穴塞ぎ。見えない所は塞がれていない。

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 もしかして通気の為なのかもしれないが、大玄関の同様の箇所にゴキが逃げ込む事度々。逃げて行って二度と戻って来ないなら開けておいて良い。だが、決してそんな事は無く、きっと襲撃路にもなっているはず。よって、問答無用で塞いでおく。

 さらに、問題の奥玄関上框の取り外しに再挑戦してみる。

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 当該箇所の床板施工においての肝の一つに、この上框に床板を隙間無く嵌め込む事だと思っている。隙間があると不細工だからだ。西側から貼って来て、ゴールの東側のこの上框にピタッと付かせる。あぁ、とても気が重い。なので、この上框が取れさえすれば諸々難易度が下がる。

 数年前にこの作業を試みた。踏石移動と奥玄関解体の際だ。その時よりは知見と経験は多少増えた。改めて現況を把握し、取り外す可能性を探ってみるのだ。

 で、結果は空振り。当時には行わなかった事を含め、あれやこれやしてみるが外せそうにない。もう根本的な周辺解体を要するのかもしれない。それは流石にやってられない。いっその事、柱から切断してやろうか。そんな事も過ったが、後悔しそうな雰囲気満々だったので断念。

 

 薄っすら埃が被った当該箇所用の漆杉板を、きょうこに手伝ってもらって下ろしてくる。そして、仮並べ。あぁ、やだなぁ。嫌なんだなぁ。

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 最初の一枚を馬に乗せる。養生をする。ケガく。漆仕上げの為、先行して材選定と寸法切りをしている。失敗すると材が使用不可になる可能性が非常に高くなり、無地材への漆塗りが発生するかもしれない。最悪の場合は埋め木から、もっと最悪の場合は刻苧埋めからやり直し。それらが刃入れを躊躇わせるが、意を決して鋸を一引きすると手が動き出す。

 

 ここまで来るともうやるだけ。工夫が必要な箇所等がありつつも、次々と張り進める。途中途中に基準線による位置寸法を確認しながら、時にはきょうこに板上から手伝ってもらって板下に潜りながらも、思いの外順調。そして、当該箇所の一番最後、奥玄関上框との取合い板近辺に到達。

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 考える。まず、この最後の板を加工した上、南側敷居、東側上框、北側トイレ柱に差し込む。奥玄関から見て手前三枚目と二枚目を後入れとして、それらと手前四枚目と最後一枚目板との間に押し嵌める。その後、南側敷居下に床下から叩き入れる。真上からそのまま入れる事になるので、既存寸法から北側雑巾摺に隠れる程度の隙間となる程度に少し短く切断する。

 

 この作戦の為、手前三枚目と二枚目の裏側に、叩き入れる際のバールを引っ掻ける溝を掘っておく。無塗装床板残短材にて仮嵌め実験も行う。この加減から、1㎜の余裕を持って最後の一枚を加工。当然の勿論の当たり前、採寸しまくった。

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 いざ本番。最後の一枚と奥玄関上框とは隙間なく、角度も良し。大成功の予感。そこから、手前三枚目と二枚目を押し嵌める。

 すると、何かがおかしい。これらの板同士、そして取り合う四枚目と最後の一枚との隙間が何故か大きい。板張り開始位置から最後まで凡そ1.85m。精密射撃とは言えこんな近距離なのに見事に外した。あぁ、愕然、そして脱力。

 

石膏板と漆板

 第一期と言うか、第一工区と言うか、母屋1階西側の上下水管施工は浄化槽接続を残して終了。これで心置きなく壁施工をするぞい。という事で石膏ボードを段取り。

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 この施工では取り立てて書く事は無い。石膏ボードは気楽なもんだ。下手をこいてもそこらで数百円にて新しい物を買いに行けばいい。そんな豪勢な事を書いた割に実際は、如何に少量かつ効率的に使えるか考えたけど。

 ビスピッチは150~200辺り。高所作業になる面が数面ある事や、長手方向寸法がボードよりも長い壁に胴縁を追加したりとかの附随作業もあったりで、そこそこ時間を要して5人工弱だったかな。

 

 他に附随作業と言うと、例えば今まで度々行った鴨居の溝を埋め木する事とか。

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 新たに入った石膏ボードと既存との取り合いにて、納まりがおかしい所に廻縁のような部材を鉋掛けの上、古色仕上で入れたりとか。

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 そして、雑巾摺を入れたりとか。当材は壁下部の見切り材でもある。これを入れないと壁が塗れない。

 さてそこで、かなり面倒な、いや、大変そうな作業がある。奥玄関廻りの廊下床貼りである。ここの西側はLDK等への上框、南側は玄関との間仕切建具の敷居、東側は奥玄関上框、そして北側はトイレ壁。これ、床レベルだと四方が囲まれている、という事。四方が囲まれている事自体は普通。四角い部屋に床を張るなんて当たり前の如し。

 サラッと読んだらそう思う。恐らく通常、嵌め込む板の施工の場合、まずは板を嵌め込んで行って、その後に巾木なり雑巾摺が板の上に取付られる。何ら特段問題無い話。

 

 だが、しっかり読んでいたら分かったかもしれない。何が大変って、北側を除く三方材の下に床板を嵌め込まないといけない事。施工順が逆、と理解してよろし。おまけとして、北側柱に新たに溝を設けてそこへも嵌め込む箇所もある。これは、少なくともお父さんにとっては非常に難儀。未知への恐怖感がずっと漂っている。

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 当該箇所は張り付け開始の一枚目、西側の上框の下に板を差し込む。さらに、南側の敷居の下にも差し込む。さらにさらに、北側の柱に切り欠いた溝へも一部差し込む。これは問題無い、東側はがら空きだから。

 しかし、最後の方になると、西側の板、南側の敷居、そして東側に奥玄関上框に囲まれる。二方だけなら問題無い。三方は厳しい。こうなると、北側の雑巾摺は先行取付は出来ない。やってしまうと床板張施工は不可能になる。

 

 そんなややこしい所にて、初の漆仕上げの厚杉床板の施工だ。まだまだガッツリ施工中なのに、折角の漆板を張るのはとても嫌。でも、春の左官祭りの為にはそんな事言ってられない。各施工が進むのは喜ばしいのだけど、懸案施工が迫って来ると思うと手が遅くなってしまうんだなぁ。今までも度々あったが、石膏ボード施工もその影響がある。人工が掛かったのは附随作業の為だけではないと思う。

 結局何を言おうが思おうが、やらないと竣工しないのでやるんだけど。

 

漏水試験、仮合格

 施主施工を面倒臭がっているのは、別にライフワークにしようとか思っている訳では無いからだろうか。だが、この頃に他にも一つ挙げられる消極理由は、どうも寒さがありそう。

 これに自覚はあまり無かった。少なくとも大阪府内の人類の中では耐寒性能が非常に高い、と自負していたお父さん。しかし、今季は歴史的な寒さだと言う。だが、所詮は数℃の違い。周囲が防寒着を羽織っても寒がる中、薄着だと変人に思われるからマナーとして厚着は一応する。

 そんなお父さんは今は昔。筋肉量が減って発熱量も減ったのか、更年期か何かで体内体温計が人並みになったのか、寒い。寒くて寒くて身体の動きが鈍い。それが精神を薄弱としているのかもしれない。

 

 薄々そう思いながらも認めたくなかった。寒い時に寒がる凡人になりたくなかった。だがしかし、寒さが和らぎ出すと腰の重さも和らいだ。食洗機周囲の施工が進んだ事も影響はあるかもしれないが、気候の変化がヤル気の変化と同期している実感を持った。耐寒性低下、イコール老化と認めざるを得ない。ついでに言うと、メインリスナーが10代から30代っぽいFMラジオから、50代以上っぽいFMにリチューニングすると楽になる事がある。

 

 そんな事を思う頃に実施したのは、やっとこさの漏水試験。仮栓は売っているが勿体ないので、おじいちゃん水栓を大いに活用。

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 二階への上水管止水は、EPS造作をする前に止水栓設置済。当試験をする理由も少しあったけども、主因は二階使用をしなくなった時の為。二人が独立、同居せずのお母さんとの老後にて、果たして二階を使うのか。どちらかが足腰を弱らせた時は、かなりの確率で一階生活をすると思う。という事で設置したが、数百円ばかりの管役物のくせに水栓並みの高級品。これなら仮付けのキャップで良かったかと思ったり思わなかったり。

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 さらに、下水管の試験もやってみる。漏水しても大事にならん、としても特に糞尿液が漏れ染みるのは、衛生的にも精神衛生的にも由々しき問題。ゴキ等の虫が寄って来ても嫌だし。

 という事で、あれこれ迷ってガムテープ止水。意外にこれが保った。

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 結果は、漏水見当たらずで合格、と思う。

 「思う」と断言しないのは、管接合部を全て触ったりして確認したものの、水道メーターがほんの少しだが回っているんだなぁ。上水管を通水管に接続する前にメーターを確認しておらず、前後の違いが不明。結構腐朽している金属管があったりするしで、既存管からの漏れかもしれない。これは宿題だな。

 

 これで保温材取付作業が可能に。

 パイプ材はシールが付いているので楽ちん。チーズやエルボの箇所にはそれに応じた役物を嵌めて保護テープで固着。役物が無かった45度の箇所には、保温テープを巻いた上で保護テープ。これが正解かは知らんだこうやった。

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 さて、この材は一つ一つは数百円。だがしかし、当たり前だけども相応の量がいる。結果、万円代になっちまう。そこで、少しでも節約をとの試みとして、役物を使用せずに保温テープと保護テープだけでやってみる。だがこれ、意外に難しい。無理矢理巻いてみるがとても汚い。用は足りても何かイヤ。役物が売ってない箇所は諦めがつくのに、節約部は不思議と諦められない。そもそも一ヶ所数百円の為に掛かる時間が馬鹿にならん。よって、普通に役物使用。ふむむぅ。