家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

まさかの亜麻仁油削り

 書院撤去により中途半端になっていた付鴨居造作。同撤去後に造作した壁足元等の巾木も造作。諸々の埋木終了。凡そ1.5人工。そしていざ、古色塗装開始。お母さんにと言ったけども、あのお母さんに任せられないのでお父さんがする事に。

 

 まぁ、兎に角ペタペタ塗っていくわけで、特段書く事は無い。有るとすれば、以前に薪ストーブスペース直上の欄間上方にある曲り梁の虫孔の件でも触れた、差鴨居にある虫孔の事。

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 この虫孔は入居前には確認しており、それ以来、木紛らしき物を見た事がない。それは良い事として、複数の孔に白い物がある。これが何か全く見当がつかない。家人が入れた固形型殺虫剤とかだったりするんだろうか。何にせよこれらの孔は気になっていたので、この機に埋めて綺麗にする。埋める方法は石膏ボードへの下地処理用のパテを用いた。

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 天井も塗り、差鴨居も塗り、その他も塗って見違えた。

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 と言いたかった所、問題発生。元奥の間と手前の元居間の間の柱へ塗った古色が既に硬化してしまっていた。硬化自体は良い。だがしかし、塗料が垂れた状態での硬化なので由々しき問題。

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 この柱足元は塗装が剥がれ、木部表面は少し痩せていた。日光がよく当たる箇所だったからだろう。よって、塗料は少々多めになってしまった。それ自体は問題無い。お父さんの塗装法は、塗装翌日に空拭きして余分な塗料を除去しつつ、塗装面を均したり鏡面に近づける。これをしておけば問題無かった。

 だけどもこの時は、銃砲関連等で作業を行えなかったりして、空拭き作業が中二日空く。それでも大丈夫と踏んでいた。今まで煮亜麻仁油はそこまで早く硬化しなかったからだ。

 だがだがしかし、この際に用いた塗料は、塗料缶の中で相当の日数が経過していた物。缶の中で硬化態勢が整っていたのかもしれん。

 

 あまりに汚い。天井どころの話ではない。これは有無も言わせず看過出来ない。けど、拭き取れない。

 致し方なく紙ヤスリで落とす事に。硬化と言っても、分厚い亜麻仁油は軟らかい。ヤスリの目はすぐに詰まる。削っては取り替えと大量消費。この作業と再塗装で3時間浪費。削られた亜麻仁油は山となる。

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 そして、付鴨居や巾木を取付て終了。全体塗装から空拭き、亜麻仁油削りを含めて凡そ2人工。今回の南側縁側の施工全体で5人工程だったかな。これで残すは左官のみとなった、かな。

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床、埋まる。

 最上部の塗装を行う前に、書院跡の好きではない木埋め作業をしておく事にした。ただ、好きではないだけでなく、当該箇所はより面倒な所がある。それは、書院跡下部に床板を新たに入れる必要がある事。

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 あぁぁぁ、すごく面倒だ。改修工事ならではの面倒臭さ。

 まず、既存の周囲の床板には手を付けたくない、面倒だから。周囲の柱等にも極力手を入れたくない、面倒だから。適材を購入する事はしない、面倒だから。しかし、出来るだけ綺麗に仕上げたい、面倒だけど。

 

 お父さんが考えたこれらを解決する方策は、相(あい)じゃくり加工と実(さね)加工の併用。

 既存縁甲板が雇実加工が成されている為、そこの取り合いは実加工。新規縁甲板同士は相じゃくり。既存縁甲板を外すのなら相じゃくりではなく実加工でも板を嵌められるが、外さない、というか外せない、というか外すのが大変なので、固定されたまま。柱側足元は、刻んで新規縁甲板を嵌め込みたいから、やはり固定されてしまう。新規縁甲板と取り合う材の両方が固定された状態が故、新規縁甲板同士はただ置くだけの相じゃくりとした。

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 材料の制約もあるし。あれ程解体材が出たのに、化粧材として流用出来る物が意外と少ない。当材は、元仏間床板でヒノキ材。ご丁寧に、裏にヒノキと書いてあった。

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 いざ、微調整を繰り返し板を嵌め込む。しかし、このままだと相じゃくりの上側に来る柱側縁甲板は、隣の縁甲板に乗っているだけ。大丈夫、ちゃんと考えている。床下からビスを斜め打ちして留めてしまうのだ。

 そのビス打ち写真は特段どうこうした物じゃないので無いんだが、既存の板を留めている釘の写真を撮っておいた。別箇所の同釘を以前掲載した記憶があるが、本来はこの釘で留める。しかし、写真のような錆びた状態で弱くなっている釘しかなく、それを再利用する気は起こらない。床鳴り等の面からも今回はビス。ちなみに、既存縁甲板を外すのが大変だとしたのも、この釘の所為。

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 さらに、隙間を埋めておく。板と大引の間は基より、取り合い柱の背割りによる隙間も。

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 目的は隙間風とかではなく、ゴキ。奴らのあの跳弾しそうな平らな体形だと、これらの隙間なんて玄関かの如しだろう。本施工にて徹底的に隙間を埋めていくつもりだ。お父さんはモスキートハンターだが、ゴキハンターではないのでそもそも侵入させない事に努める義務がある。

 また、ゴキだけではない、ハチもだ。この箇所は、書院内の空洞空間にスズメバチの物ような巣が作られていた。周囲の敷居と大引の間のほんとにちょっとした空間にも、何かしらのハチの巣があった。これらの事も踏まえるのだ。

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 その他、周囲の既存縁甲板との兼ね合いを調整。

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 元仏間による釘孔を埋める。そして完成。そう言えば、本施主施工で初めての床板施工だな。

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 この板は、無垢のままで行く事にした。既存との色が全く違うのだが、亜麻仁油古色を塗っても靴下が汚れそう。既存板は、書院内に隠れていた箇所も色が付いているので、経年使用によるのではなく何かしらの塗装がされているように思うが、何かが分からない。そんなわけで、下手に塗るよりも、という判断。塗りたくなれば後日に塗れば良いしな。

 

 この板はたった二枚ながら、1人工以上を要したように思う。では、二十枚なら10人工以上かと言うと、絶対そんなに掛からない。道具の散乱ぶりを見て貰えば分かるかと思うが、少量小面積の施工は効率はよろしくない。新築とは違う改修工事の方が大変、とはこういう事じゃないかと再認識。

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糞<怠惰

 法的に、そして個人的に銃器や狩猟に関連した事に結構な時間を費やすのだが、これで罠猟する為の罠にも凝りだしたりする、とかは流石に自制する。

 設計面や施工面でも、お父さんの銃や狩猟は影響する。工房等を設けようと考えているからだ。施主施工に関係の無い話も多く書いたが、回りまわって関係してくるんだな。それはまた後程、かな。

 

 さて、鉄砲等に首ったけというだけで過ごしていたわけではなく、歩みは遅くとも施工は行っている。次のターゲットは南側縁側。古色亜麻仁油の硬化を踏まえた施工の続き。

 施工着手前、お母さんにまたもや掃除を頼んでいた。お母さんは懲りない人とも言うが、へこたれない人とも言う。お父さんに掃除で怒られたりしても、投げ出さずに新たな箇所の掃除を行ってくれた。そんなお母さんの手前、施工を投げ出して鉄砲イジリ等出来ない。

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 そうは言っても、やはり掃除の出来栄えは何故かイマイチ。しかし、呆れてもあまり怒りはしない。免疫が付いたという事もあるが、最終美装手段を掃除か塗装かで迷っていたからだ。特に、無垢の天井板の汚れ対応。

 汚れの正体は不明。何だか虫の糞のような気がしない訳では無い。こんな所に糞をわざわざ付着させるなんて、そんな虫がいるだろうか。でも、立体的な黒い粒が糞だと連想させる。この際正体は無視するとして見た目が問題。普段、きっと天井を見上げないだろう。しかし、見上げた時には気になる。着工前から現在に至る迄、同じ心情。この手の選択は迷うんだなぁ。

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 という事で、以前にお母さんに相談した事がある。古色を塗るべきか否かと。その際、塗るべきと回答。その後、塗装作業はお母さんにお願いする旨を伝えた後日。改めて尋ねると、普段見上げないだろうから塗らなくてもいいんじゃないかと。

 

 出た。出た出た、出た。施主施工者の妥協心理。これよ、これ。

 施主の立場でだと、そりゃ綺麗が良いに決まっている。いざ施工者になったら、しない理由を探し出すのだ。本施主施工を前提にこの家屋を取得するか否かの検討の際、お母さんは建売住宅購入者感覚が強かった。設計施工はお父さんの役目であり、お父さんが出来るのであれば有り、大変だと思うなら無し、だ。

 

 何もお母さんを責めているのではない。度々書いている事だが、多くの施主施工者はこの葛藤を抱えながら施工をしていると思う。それを踏まえ、お父さんは三重人格となって凌いでいるが、お母さんがそれを出来ない事は仕方が無い。

 ただ、この機会にお父さんの日頃の葛藤を吐露した上で、これを踏まえてどうかと再質問。すると塗装実施に傾いた。よって塗装する事に最終決定。まぁ、お父さんもこの時まで迷っていたからこそ、お母さんに再相談したんだけども。

 

鋳造に裁縫

 と、宣言しながら銃砲所持や狩猟は、どうしても施主施工、生活、稼業に影響を及ぼしてしまう。法律やら通達やらで、平日に警察等に赴く必要があったりするんだなぁ。警視庁は土日対応もしてくれている所轄があったと思うが、我らが大阪府警では有り得ない様相。銃砲所管部署は、あくまでお役所時間のようである。

 

 それ以外に個人的に、時間を取られそうな事柄がある。それは、弾の無許可製造。お父さんは銃砲所持を通して初めて知ったのだが、日本でも鉄砲の弾を自分で造っても良いのだ。これは、警察だけでなく今度は経済産業省も絡んで来るがちゃんと法律内で認められている、無許可という名称だけども。

 鉄砲の弾の事を実包とかと言う。お父さんの所持銃の場合、空薬莢に雷管を嵌めて、火薬を入れて、プラスチック製の容器等を差し込んで、その容器に弾頭を挿入し、薬莢の口を加工すると出来上がり。そして、この実包一発の値段が高い物だと600円とかしたりする。平成29年で600円あれば、昼食一食分に缶コーヒー一本を買ってもお釣りが来る。それ程の金額が一瞬にして飛んでいくのだ、文字通り。

 

 お金の為に家でさえも造るお父さんが、弾を造らないわけがない。

 という事で、まずは弾頭鋳造から始める。そう、お父さんはとうとう鋳造までするようになりました。まぁ、融点が低い鉛や錫なので、蒸気と火傷に注意さえすれば然程困難ではない。と思いきや意外に難航。精度ある弾頭を造るには、経験やらコツが要りそうだ。まだまだだ。

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 それよりも、お父さんが嵌りそうだと危惧しているのは、射撃精度を得る為の研究。弾頭鋳造だけでなく、火薬量や種類の探求、プラスチック容器の選定やら薬莢の加工やら。既製品がやはり優秀というのが通説なのだが、そこに探求心がそそられている自分がいる。自身で造った弾が思い通りに飛んでお肉を獲るなんて、素敵やん。そして何より劇的に節約が出来る。

 

 他、銃器関連品や猟具の自作にも時間を要している。

 先に、アメリカから物品を輸入する旨を書いた。実際、既に多くの品物を購入し、今現在も学校英語と翻訳ソフトを駆使したメールでやり取り中。だが、言葉だけでなく法律が違う異国から全ての物が思い通りに揃うわけではないっぽい。数年前までは可能だった銃器等の危険物輸入不可は仕方なしとしても、日本国内で普通に売られている類の物でも輸出してくれない場合がある。

 

 そして、日本では必要なのに、アメリカではあまり造られていないっぽい物がある。それは銃袋。

 日本では原則、銃器や刃物を露出させて持ち歩いてはいけない。車の運転席に自身が居て外部から見えない助手席等にでも、裸で銃器や刃物や火薬類を露出させて置いたりしていると問題。俄かに信じられない話だが、大工さん等が現場に行く際の車内に刃物を入れていても場合によっては要注意らしい。だが、作業服を着た作業車に乗る職人に刃物工具について詰問する警察官が本当にいたら、給料泥棒と呼んでも良いんじゃなかろうか。

 狩猟中も同様。山やら池やら田畑やらの可猟区で事が済めば、そそくさと覆わないといけない。もし公道等で露出しながら歩いてしまい、巡回警察官にでも見つかるようなものなら即連行らしい。銃器は猥褻物と同じ不快物のようだ。それで実際に検挙される事案は度々起こっているらしい。どうも釈然とせん。シートベルト着用は見つかるか否か関係なくする物だが、銃器への覆い着用は安全無事故運用に何ら関係ないと思うんだけど。

 

 で、アメリカはどうか。完全承知していないが州か自治体に依るらしい。完全に隠せという所もあれば、隠し持っている方が却って危険だから出せという所もあったと思うし、何ら規制されてない所もあったと思う。何れにせよ猟銃を猟場の林道とかでさえも隠せよ、という法律は無いのではないか。と言うのも、銃を入れるハードケースは豊富なものの、袋という物は数少ない。寧ろ、日本国内の方が袋については豊富に見える。需要差ではないか。

 

 そして、お父さんは考えました。自身が明らかに危険行為を行っていたら粛々と処罰を受けるべし。しかし、こんな意義不明な法律にて現場でいちゃもん付けられたら気が悪いったらありゃしない。袋だろうが箱だろうが、林道や公道脇に停車した車からの銃器出し入れが必要だと、そのような面倒が生じないだろうか。ならば、袋に入れたまま山等に持って行って、やはり入れたまま装填や照準や発射が出来る物は無いだろうか。銃器保護にもなるし。

 お父さんは探しました。そして、見つけました。お父さん程度が考える事だけに日本国内では売られていた。しかし、それは許可が要る空気銃用。何で装薬銃用は無いんだ。需要が無いのだろうか。

 

 さすれば、無いなら造るのお決まりパターン。

 色々調べた結果、布は丈夫な米軍仕様か何かの品で尚且つ防水処理されている物で決定。しかし、国内小売では欲する量と妥当価格にて発見出来ない。という事で輸入。壊れていたのでこの機会にミシン新調。裁縫店の会員に入会、定員さんに色々教えて貰いながら、丈夫なミシン針と糸、その他諸々調達。

 で、一応完成。転居して以来、鋳造を含めて様々な工種を行ったが、とうとう裁縫までしてしまった。

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 小学校低学年の時だったかと思うが、玩具の拳銃を携帯する為のホルスターを造った事がある。普通の布に強度を得る為に厚紙を入れて縫い合わせた、年齢の割にはそれなりの物。

 だが、大人になっても同様の事をするとは思いもしなかった。慣れない作業の所為か、完成品は美しさが無いどころか所々下手さが出ている。それに、材料費は普通の安い銃袋既製品の三倍弱を費やし、製作工数は買物含めて3人工程も要してしまった。夜なべは勿論、時には施工を切り上げたりして行ったりと、影響を及ぼしているしなぁ。この手記も書いている暇がなかったわ。目下の不安は、一度も猟場に出た事が無い人間が造った事による実用性の有無だ。

 

「変人」は自身を「変人」と思っていないから「変人」なのか?

 嬉しくないが、お父さんは変人だと思われている自覚がある。

 施主施工だけに留まらず、銃砲所持をする。今までの施主施工等については、好きだから、趣味だろう、等の比較的好意あるレッテルを貼られる事はあった。しかし、鉄砲が好き、射撃が趣味でスゴイね、との判断は貰えないだろう。この歳にして初めて趣味と言える物を手にしたのに、おいそれと人様に言えない。

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 警察以上に厳しそうなのは、そんな大多数の非所持者の方々。合法的に鉄砲を所持して歩いていても、「通報するぞ」とか「あっち行け」とか言われる事があるらしい。

 こんなご時世で、数少ない理解者は農家の方。と思っていたが一概にそうではないらしい。農作物への鳥獣被害が有る無し関わらず、毛嫌いされる方はされるらしい。何なら、猟師に有害駆除を頼んでおきながら、被害が収まって用が済んだら「あっち行け」態度を取る理不尽者もいる文章を目にした事がある。

 

 そのような時代に、何故銃砲を所持したりするのか。

 お父さんが生まれた頃にはもう所持者、という大ベテランの方に伺った事がある。お父さんの実技試験の指導員の方で、銃砲の危険性等についてご教授頂いた際の事。何故、未だ現役で所持や猟をお続けになっているのでしょうか。大変さの向こうに得られる何かがあるのですよね、と。非所持者でも言える、目にも耳にも危険云々の言葉に食傷気味、本物の狩猟家を目の前にして違う言葉を欲したんだな。

 すると、言葉に窮されてしまい、無粋な事を尋ねたのかと即座に後悔した。お父さん如きに一言で語れる物事じゃなかったのかと思う。

 

 お父さん如きの駆け出し者にとっては簡単。まず射撃をしたい、そして、どうせなら狩りもしたいという軽薄さ。

 ある方が狩猟を始める動機を三分類されていた。山歩きやアウトドア等から発展した「自然派」。肉が欲しいとか農作物を守る為とか、何なら動物が好きだからという「動物派」。そして、銃器が好きとか射撃がしたいとかの「鉄砲派」だ。お父さんは勿論「鉄砲派」。

 変人自覚はあるが、本人は至って普通の事だと思っている。お金が無いけど望む家に住みたいから施主施工。勿体無いし生活品質向上の為にチェンソーを所持して木こり。鉄砲好きだった男の子が大人になり当時の夢を叶えて銃砲所持。どうせなら、やはり資源が勿体ないから狩猟。何か変だろうか。

 

 銃砲行政の横暴やら世間の白い目の結果、問題が出てきた。鳥獣による農作物や森林被害、そして生態系の変化だ。ここで動いたのが、農作物所管の農林水産省と、森林等の生態系と狩猟行政所管の環境省。また、所持者を減らして来た警察の違法紛いの法運用が国会でも問題視。

 という事でそれはそれは色々あって、狩猟免許所持者は増加、銃砲所持する女性も増加、銃刀法運用も幾分か緩和。お父さんが変人ではないという時代がやって来るかもしれない。

 

 とは残念ながら思えない。

 かの狩猟と銃器大国のアメリカでさえ、狩猟家や銃砲所持者は減少しているらしい。州や地域によっては結構厳しいようで、銃砲店が政治的に閉店に追い込まれたりもするらしい。

 過疎化や高齢化により、山との境界線である里山の後退がより一層進み、奇しくも有害駆除の必要性が減るかもしれない。ひいては、狩猟の存在意義が低下するのかもしれん。山と街との境界線が直に接していて猪が街を闊歩する、という神戸みたいな地域が増えていくのかもしれん。だって、デジタル世界で食材は買えば済む生活下で、わざわざカネと時間を使って鉛弾を飛ばす事に意義を見出す人はもっと減って行くだろうしな。

 

 行政が本気で狩猟家、何なら職業としての猟師を増やそうと思っているのなら、お役人の人員投入と税金投入をドバッとすれば実現性は高まるんじゃないか。

 初心者期間は高額な狩猟税と猟友会会費は大幅減免、警察での手数料無し、射撃場使用無料券配布。初心者期間終了後は現行レベル、ベテラン期は高額設定。ベテランでも役員なり指導員なり駆除員は減免。で、有害駆除捕獲の報奨金に国費大幅投入。門戸をまず広げ、安全に腕を磨いた人や公益貢献をする方の経済的負担が減りつつ、そうでない人は淘汰されていく。人が増えれば物品類の価格も下がりより維持しやすい。

 とまぁ、こう簡単には行かんのは承知ながら、現行は何だか逐次投入感があるんだよなぁ。鳥獣による農作物被害が200億円弱。被害者個人の事よりもその金額とのバランスによる現状であり、これが10倍なり100倍なりだと国も本気になるかな。

 はたまた、生活圏集約方針があったりとか、小規模零細自給自足的農家の減少狙いとかあったりして。例えば、平成の現代は少子化云々言われているのだけども、国がなりふり構わず本気で対策しようと思っているのなら出来る類だと思うんだな。景気浮揚とかより余程人為的に出来ると。お父さんは賛成だけどそれをしないのは、国土に応じた人口にする目論見があるのかと勘繰ってしまう。

 鳥獣被害についても何か意図があるのかな。或いは単に調整、又は保身政治の為なのか分からんが中途半端感が否めない。逐次投入の結果、多大な人命と軍備等を失って国家存亡の危機に陥った事、忘れてんのか。

 

 あぁ、ついつい熱くなってしまって話がどんどん逸れていく。ま、兎にも角にも逆風環境でもお父さんは、銃砲所持等に何ら反対するどころか獲らぬ獲物の肉算用をしているお母さんとの生活の下、人生初の変人趣味に高じたいと思います。施主施工には、出来るだけ影響を及ぼさない様に努めます。よって、設置時毎日見回りが必要になる罠猟は、もっと施工が落ち着いてからにします。